100点を目指さない60点の接客を目指す小売業

 

 

テレビのカンブリア宮殿なんかたまに目にすると、まあいろいろな企業の成功事例がとりあげられています。

 

その中でよく「顧客を感動させろ!オンリーワンを目指せ!」みたいなことが経営者の口から良く出てきます。

 

 

 

私の場合は小売業に従事していましたが小売の現場から言わせると、まったくこれは逆です。

 

 

 

ホームセンターに勤めていた時の話ですが、私のモットーは「客を感動させるな!100点をとるな60点を目指せ!」というものです。

 

顧客を感動させるような100点の接客はまったく必要ありません。

 

むしろ不要です。

 

小売業のエライ人でもそのことがわかっていない人がけっこう多いんです。

 

スーパーやホームセンターはリッツ・カールトンではないのです。

 

 

 

私のいたホームセンター業界は小売業界の中でも非常に接客する率が高い業界かと思います。

 

お客様にとって見たこともないような、もちろん使い方もわからないような商品がずらっと並んでいます。

 

 

そして場所の案内程度の接客から商品の使用方法や商品の選び方などのディープな接客まで土日ともなると一日何十人、時には100人近い人に相対します。(接客以外の仕事も大量にあります)

 

 

そこでいちいち100点を狙っていたらとても人数をさばけないのです。

 

 

100点を狙って一人のお客に手がかかりすぎて別のところで1件クレームを出すくらいなら、全員60点の接客でクレームを1件も出さない方がいいのです。

 

クレーム1件出したら対応で半日くらいつぶれることは日常茶飯事です。

 

それこそ接客どころではなくなります。

 

本当にもぐらたたきみたいなものです。

 

1匹のモグラに手間取りすぎたらあちらこちらでピョコピョコモグラが出てきます。

 

モグラはこちらの都合なんかまったく考えてくれません。

 

 

 

私は大勢のお客様をとりあえず大きな不満なくさばく力に関しては自信を持っていました。

 

ホームセンターの場合は自部門以外にも横断的に接客することも多いので、そのためには広範な商品知識と的確な説明能力が求められます。

 

例えばDIYで家にウッドデッキを作りたいと言われれば最適な木材からねじ、くぎなどの金物、塗装、さらには木材の加工の相談から電動工具の説明までしないといけません。

 

簡単なリーフレットみたいなのはありますが、「それ見て自分でやれよ」というわけにはなかなかいきません。

 

 

 

 

会社の上層部にはこういった力も評価してほしかったのですが、現実はそうではないんですね。

 

接客というのは数字や売り場の陳列具合とかと違って目に見えるもの、形として残るものではないので評価しにくいんですね。

 

仮にミステリーショッパーがやってきたとしても、評価に現れるのはその調査員一人の印象です。

 

1人に対する接客と100人に対する接客は別物なのです。

 

全員100点をとれるならとったらいいんでしょうが現実的には最適解で妥協する必要があります。

 

 

 

それ以外に私が100点を目指さなかったのは、仮にそんな素晴らしい接客をしてしまうと店ではなく個人にお客様がついてしまうのです。

 

私はできるだけいい意味でも悪い意味でもお客様の記憶に残らないような接客を心がけていました。

 

特に不満は感じないが感動もしない接客です。

 

理想は空気のような接客ですね。

 

 

下手に顔をおぼえられてしまいますと関係のない部門のことまですべて自分に尋ねてくるようになるし、値引き交渉をしてきようとしたㇼいろいろ面倒なことが起こってくるわけです。

 

 

個人商店の商店主やデパートの化粧品売り場の販売員とかだったら、その方がいいんです。

 

店と名前を覚えてもらえればそれだけ売り上げ、自分の収入が増えるわけですから。

 

 

 

でも大規模店舗の担当者だと、下手に顔をおぼえられてしまうと仕事が増えるだけになります。

 

しかも日本はチップの習慣はないので感動させる接客をしたところで、自分にメリットは何もなく自分で自分の首を絞めるだけなのです。

 

 

たぶんけっこう私みたいなことを考えている小売店担当者は多いんじゃないかと思います。

 

どこの小売業でもそうかもしれませんが、従業員に100点を目指して欲しい経営層ととてもじゃないけど現状無理と思っている現場とで温度差があるのではないかと思います。

 

私は3社の小売業で勤めてきましたが、会社の規模に関わらずどこの経営者もコンサルタントにカモにされ踊らされていましたので、これはダメだと思いました。

 

 

こんな本も多いですね。

 ミステリーショッパーさんに100点と言ってもらいたくありません・・

 

お客さんに選ばれたくありません・・・

 

二流でいいです・・・・

 

 

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